高級デパートで財布やカバンを探すと見かけるブランド「HERGOPOCH(エルゴポック)」。
デパードで取り扱われているだけあり、良質なレザーアイテムを展開しています。
しかし、ブランドコンセプトや商品の特徴を知っている方は意外にも少ないでしょう。
実はわたし(財布のJG)もアイデア財布の製作を試みたことがあり、財布を海外あるいは国内のどちらで生産するか、そしてユーザー重視あるいは外観重視のどちらにするか、悩んでいた時期がありました。
そんなときにエルゴポックという国産にこだわるブランドスピリットを知り、感動したことを覚えています。
今回はそんなエルゴポックというブランドをシェアしたいと思い、本記事でまとめました。
疑問
- HERGOPOCH(エルゴポック)ってどんな財布があるの?
- お値段は?
- 評判は?
- そもそもエルゴポックとはどんなブランドなの?
- 品質は?
では、さっそくの回答です↓
ミニマルでアーバンウェアにフィットするラインアップ
まず「エルゴポックってどんな財布があるの?」という方へ
時代に合わせたエルゴポックらしい洗練されたミニマルな財布を3つ紹介します↓
TCW-NWS(スマートウォレット 16,500円)
まずはエルゴポックのミニ財布ジャンルのフラグシップモデル、スマートウォレット「TCW-NWS」。
流行のファスナーとカードポケットから構成されるフラグメントケースタイプの極薄財布です。
ネックストラップ(別売8,250円)を付ければ首から下げられる機能性。
この"かゆい所に手が届く"ユーザー重視のデザインがまさにエルゴポックって感じです!
TCW-LFS(札入れ 13,200円)
同じソフトシュリンクレザー”トッカベーネ”を使用し、もう少しオーソドックスなL字ファスナーに仕上げたモデルが「TCW-LFS(札入れ)」です。
ブラック/グレー/ホワイトのモノトーン3色があり、近未来&都会的なオシャレを演出。
モノトーンファッションにぴったりですね。
もちろん、こちらもネックストラップ(別売8,250円)を付ければ首から下げられます。(レビュー記事)
06W-BOX(コインケース 7,150円)
極薄財布、L字ファスナーと続き、こちらは「06W-BOX」コインケースです。
エルゴポックといえば06 seriesのオリジナル"ワキシングレザー"がブランドの売りの一つ。
原皮や手作業にこだわり、開発を重ねたアンティーク風のエルゴポックのオリジナルレザーです。
使い込むほど味を出していきたいなら、このレザーでまず間違いないでしょう。
ご覧のように、他とは一風変わった前衛的なデザインが魅力のエルゴポック。
コンパクト財布の種類も定番所をしっかり抑えつつ、エルゴッポック流のユーザー目線の味付けが加えられてます。
画面越しでも伝わるレザーの上品な主張もグッド。もちろん、どれも日本製の安心品質です。
【価格】コンパクト財布の値段は7,150~20,900円
前衛的にも映る財布で日本製のミニ財布となると、どうしてもお値段は張る印象。
ですが驚くことに、エルゴポックのミニ財布の値段は7,150~20,900円と極めてリーズナブルです。
これは、エルゴポックが製品の開発から流通まで一貫して自社で行ない、効率化していることが要因。
物がありふれた時代に「どこで、だれのために、どんなものを、どんな価格で作るか」をエルゴポックは徹底しているわけです。
【評判】日本製ならではの良品質
デザインと価格が良くても、やっぱり評判が気になります。
そこでECサイトの購入者レビューを整理しました↓
プラスな口コミ
- 革の手触り/質感/風合いが良い
- 見やすくて使いやすいデザイン
- 縫製が丁寧
マイナスな口コミ
- ファスナーが若干かたい
ご覧のように、ファスナーの開閉でわずかに硬い印象を受けた商品もあったようです。
ファスナーのかたさは共感
実はわたしが持っているTCW-LFS(ホワイト/札入れ) もわずかにファスナーが動きにくかったです。(ファスナー自体はつまみやすく、今まで最高のデザインでした)
(エルゴポックはYKK製のファスナーを使用しているので、故障の心配はないんでしょうが・・・)
とはいえ、買った当初は使い心地に少し悩んでいました。
解決策アリ
困ってネットで調べたところ、解決策を発見!
ローソクをファスナーに塗りこむことで滑らかさが改善できました。
以上のように、わずかなマイナスの口コミを除くと、丁寧な仕上げや作りに満足しているレビューが殆ど。
何より、口コミの多くはレザーの風合いやデザインに満足の声。
日本製ならではの「質実剛健の品質」という表現がエルゴポックにふさわしいでしょう。
HERGOPOCH(エルゴポック)とは
ここからエルゴポックの設立背景やブランドコンセプトについて解説します。
まずは要約です↓
HERGOPOCH(エルゴポック)とは
老舗袋物メーカーの株式会社キヨモト(1956年創業)の三代目社長、清本英昇(きよもとひでのり)氏が2005年に設立した自社レザーブランドです。
商品を国内で製造することに強いこだわりを持ったブランド。
「持つ喜び」が直に感じられる製品が最大の特徴。
ブランドの設立と特徴
1956年に設立されて以来、株式会社キヨモトは縫製工場を福島県石川郡古殿町に置き、OEM/ODM(他社製品の受託製作)を通してカバン作りに精通してきました。
ですが、1980年代以降は安価な海外製品の流入によって国内の皮革産業は苦しい状況に陥ります。
以降、各レザー製品メーカーは、自社ブランドの立ち上げに挑戦。そしてエルゴポックもそんなブランドの一つでした。
ものを作る上でこれからを考えたとき、「国内の技術を持った職人さんを維持していきたい」そんな思いで立ち上げられてます。
エルゴポックのコンセプト
そんな皮革産業の厳しい状況下で生まれたブランドメッセージは明確。
トレンドに左右されず、いつの時代においても良質な純国産製品で「持つ喜びを感じられる商品を届けたい」です。
ここでとくに目を引くワードが、「純国産」(オールメイドインジャパン)。
エルゴポックを代表する商品(06 seriesなど)は、革から縫製まで全て国産にこだわっています。
日本の職人さんだから安心できる
ジャパンブランドは多数ありますが、ここまで日本製にこだわるブランドは多くありません。
その中、エルゴポックが日本製にこだわった理由は、「丁寧な作りの大切さ」への揺らぎない思想に感じました。
たとえば、レザーアイテムの製作には100を超える細かな工程があり、その一つ一つの積み重ねがアイテムの出来を左右します。
それをショートカットせず、丁寧に作り上げる責任を負えるのが、"メイドインジャパン"というわけです。
論点が逸れるかもしれませんが・・・
わたしも財布の製作をしたとき、海外生産を考えました。
が、実際に「海外でどのように作られているか」確認し、責任を持ってお客様に説明できるのか?
と考えたとき、「海外の工場で直接モノづくりが見られるわけではない」ということで、答えは「ノー」になりました。
グローバル化が進み、海外の安いコストで作ることができても、透明性という意味では日本製こそ安心という結論です。
エルゴポックの純日本製のモノづくりに話は戻りますが、
素材の金具類まで、「不純物を入れていない壊れにくい日本製」にこだわっています。
さらに検品や梱包を自社流通センターで完結させ、商品を安心してお届けできるシステムを採用。
このように、良さを追求した結果、必然的に革素材、金具、縫製、そして流通までもが国内で完結するに至ったのです。(※一部商品のレザーは海外製を使用)
ブランド名は「人間工学」と「エポック」の造語
ここまでで、国内生産にこだわった素晴らしいクオリティのブランドであることが分かりました。
が、その商品でどんなメッセージを届けているのか?ここが最も気になるところです。
実は、その答えはブランド名の「HERGOPOCH(エルゴポック)」に潜んでいました。
どういうことか?
ブランド名を分解すると、エルゴノミクス(ERGONOMICS:人間工学)とエポック(EPOCK:新時代)から構成されていることに気が付きます。
しかし、「人間工学?」、「エポック?」、何ですか?
と疑問を抱く方も多いでしょう。もちろん、言葉を知った当初のわたしも意味が分かりませんでした。
そこで調べたときのことを順を追って説明します。
人間工学×エポック
まず、人間工学とは「人間にとって使いやすいものにしよう」、「人間の負担がすくないものにしよう」、といった人間中心設計の考え方であり、日本産業規格にもガイドラインが設けられた規格です。
そしてエポックとはそれまでとは違った、「画期的な時代」を意味します。
つまり、
ブランド名の意味
エルゴポックには、使い手を思う機能性に特化したデザインで新時代のスタンダードを創生する意味が込められてます。
それゆえエルゴポックの製品は「見た目」のデザインから入りません。
機能性ファーストで使い手の心地よさを追求しています。
エルゴポックの製品から、どこか他のブランドにはない印象を受ける理由はここにあるのかもしれませんね。
21世紀のモノづくり
話は少し逸れますが、21世紀に入り、Ergonomics(エルゴノミクス, 人間工学)の名前を冠したブランドが多く誕生していることに気がつきます。
- 身体にフィットするイスを展開する、2005年に設立された台湾の椅子メーカー、「エルゴヒューマン」
- 赤ちゃんの快適性を追求した抱っこひもの販売で有名な2003年に設立された米国の抱っこ紐メーカー、「エルゴベビー」
- 人を想う思想で設立されたジャパン革ブランド「HERGOPOCH(エルゴポック)」(2005年)
21世紀という節目の年に入り、世界各地でモノが溢れる様子が目立ってきました。
- 大量生産された格安のモノ
- デザインの良いモノ
- 流行に乗ったモノ
こういう時代に、改めて何のためにモノを作るのか考えた結果、
「人に寄り添う製品を作りたい」と感じたメーカーがErgonomics(エルゴノミクス, 人間工学)にこだわったモノづくりを展開しているのかもしれませんね。
代表作はショルダーバッグ
せっかくなので、最後にHERGOPOCHの代表作06-OS(ワンショルダーバッグ)をご紹介します。ユーザーファーストの工夫が至るところで見られる逸品です。
例えばトップハンドル。
日常でワンショルダーバッグを使用すると、状況によって手で持ちたい場面に出くわします。
こんなケースを考慮し、06-OSはトップハンドルを設けることで手持ちも可能に。
また、ショルダーストラップを外すことでクラッチバッグにも素早く変身します。
ちなみにレザーにはオイルやワックスが手仕上げで含まれた、オリジナルの「ワキシングレザー」を使用。
独自の色みや風合いやしなやかさはまさに唯一無二。
高級感がありながらカジュアルなファッションも引き立てる、使いやすさ抜群のアイテムです。
【店舗】銀座に直営店舗
本記事で、エルゴポックの素晴らしい製品が理解いただけたかと思います。
そんなエルゴポックのアイテムですが、GINZA SIX(直営店舗)で購入できます。
また、全国各地の百貨店でも取り扱っています。
お近くに百貨店がある方は一度商品を手にとってみることをオススメします!
無い場合は、公式オンラインショップで購入できますよ!
【まとめ】ユーザーファーストのモノづくり
近年のトレンドとして、数mm単位の「小ささ」、「薄さ」を追求し、デザイン性がキャッチーなルッキズム重視の財布が増えているように思います。
このような商品が増えている理由の一つとして「一目で分かりやすいから」が挙げられるでしょう。
多くの情報が入り乱れる今、インターネットのバナー広告でユーザーの興味を一瞬で引かなければなりません。とても自然な流れといえます。
これはこれでとても楽しく、エキサイティングであることに疑いの余地はありません。事実、私も新しい財布をみるたびにとエキサイトしています。
エルゴポックのメッセージ
ですが、「本当に良いもの」の定義は幅広いことも忘れたくないと思いました。
製品一つ一つにストーリーがあり、短時間では到底理解できないメーカーの想いがそこにはあるはずです。
エルゴポックの場合、ユーザーを思いやる機能性の追求、そして安心品質にこだわった国産という選択。
ユーザーファーストのモノづくりがそこにはありました。